2章「そっか!何か皆が噂しててさ・・・」 「誰が?」 「うん?うん・・・」 黙らないでよ。 沈黙の中、その中に妙が入ってないことを祈った。 「それだけ!じゃあね」 「うん」 プツッ。 何でうんって言ったの?妙は?って聞けば良かったのに。 怖くて聞けなかったことを知っていたけれど、 そんな強がりを緊張がまだ心の中にあるまま、自分に言い聞かせた。 翌日、妙に会いたくてたまらなかった。 皆で話していたその中に妙がいようがいまいが、妙を信じた。 それだけ価値のある子だからだ。 「妙!オハヨウ!」 「おはよう。早いね」 「うん・・・」 周りに鈴がいないことを確かめてから妙と人目のつかない廊下の隅へと向かった。 「昨日鈴から電話来たさ」 「え?何て?」 人事だから興味津々なんだね。 「冴は私のこと好き?って」 「何て答えたの?」 「好きだよって」 「良かった・・・」 どうして? 「正しい選択だよ」 理由は? 「うん」 またうんとか意味不明だし・・・。 「そろそろ教室行く?」 鈴の顔が見たくない。 「・・・先に行ってて」 「わかった」 やっぱ妙も普通の子。 誰とでも仲良くしたい子だから、安全な方法で接してる。 いまや、私とより鈴との関係の方が妙には心地良いんじゃないかな。 大嫌い。 「あっ」 妙がこちらを向いて言った。 「誰とでも良いから沢山の人と一杯話した方が良いよ」 どういう意味? 「うん」 意味わかってないのに頷くな自分!大っ嫌い。 妙の何処が私にとって必要なんだろう。 妙がそう言ったから私は手始めに男子に話し掛けた。 気遣わなくて楽だから。 「ねえ」 「何」 「それ何?」 私は彼が聴いていたMDの曲名を聞いた。 「MD」 馬鹿か。 「・・・」 ダルイ。 「エスケープだよ」 「ふぅん・・・」 曲名を聞いた所で音楽に興味のない私はそれ以上話を続けられなかった。 ・・・というより続けるのが面倒だった。 <3章> |